EVENT REPORT

話題沸騰本『今までの服が何だか似合わないんですが、こんな私でもどうにかなりますか?』著者・田部晴香さんが提案するアラフォー世代のおしゃれ

2024.12.17

八重洲日本橋京橋の女性ワーカーズコミュニティ「GOKINJYO」とKADOKAWAのコラボ企画「KADOKAWA brand new ME!読書会」。今回の課題図書は『今までの服が何だか似合わないんですが、こんな私でもどうにかなりますか?』。当日は、この本の著者である田部晴香さんが登壇し、みんなのファッションのお悩みに答えてくれました。

 

 

■アラフォー世代のおしゃれ迷子は、まず“好きなもの集め”でリハビリを

 

田部さんは、大手アパレル企業でのデザイナーを経て、現在はパーソナルスタイリストとして活躍しています。おしゃれを理論で学べるオンラインスクール「おしゃれアカデミー」を主宰し、多くの女性のファッションの悩みに寄り添ってきました。また、インスタグラムではすぐに実践できるおしゃれのコツやコーディネートを発信中。

 

今まで似合っていた服が似合わなくなったという悩みを抱えがちなアラフォー世代が、どうおしゃれを楽しめばいいのかについて教えていただきました。

 

 

「私が一番多くいただく悩みが、本のタイトルにもなっている『今までの服が似合わない』というお悩みなんです。ファッションのノウハウがいっぱい載っている本はたくさんありますが、おしゃれがわからなくなってしまったという人に本当に寄り添う本って少ないなと思い、そういう本にしようと思いました。『今までの服が似合わない』と感じてしまう大きな原因として挙げられるのが、体型とマインドの変化です」

 

年齢を重ねるうちに、「年相応の服を着なければ」「お母さんなんだから自分にそんなにお金や時間をかけていいのか」などと感じるようになる。また、仕事、家事、家族のことばかりで、自分の優先順位が下がってしまう。そして、ふとした時に鏡に映る自分の姿に落ち込む。そういう悪循環がおしゃれを楽しめなくなる大きな原因となっていると田部さんは語ります。

 

 

そして、そんなマインドを変換するためにおすすめなのが「ビジョンマップ」作りとのこと。

 

「ビジョンマップとは、雑誌などから好きなコーディネートを切り抜いてどんどん紙に貼っていき、自分の『好き』を集めていくワークです。服だけでなくインテリアやスイーツなど、とにかく好きなテイストのものならなんでもOK。そうやって好きなものと向き合う時間を作ることが、下がってしまった自分の優先順位をあげることにも繋がります。最近はトレンドも追えていないし、そもそもどこで服を買ったらいいか分からないという方に、リハビリ的な感じでぜひやっていただきたいです」

 

雑誌の切り抜きが難しい場合は、SNSを利用する方法も。好きなコーディネートの人をフォローしたり保存したりして、見る時間を作るだけでも「自分の好き」と向き合うことができるのでおすすめです。

 

■自分にブレーキをかけずに、とにかく好きなものをギュッと。買い物にも断捨離にも役立つ”ビジョンマップ”とは

 

 

今回の読書会では、参加者のみなさんにこの「ビジョンマップ」作りに挑戦していただきました。

 

「『好き』『かわいい』『欲しい』と自分の心が動くものをとにかくたくさん切り抜いて集めてみてください。つい『モデルさんが着ているから自分だと違うかも』『このブランドは高いから買えない』といった先入観を抱いてしまうかもしれませんが、今はそれはナシで! 自分にブレーキをかけずに、とにかく好きなものをギュッと凝縮したものを作りましょう」

 

田部さんからのアドバイスを受けて、早速作業を開始。最初はちょっと悩んでいる様子も見られましたが、しばらくすると好きな物探しに夢中に。時折、好きなものについて盛り上がり、あちこちのテーブルから笑い声が上がるなど、楽しそうにワークが進んでいきました。

 

「このビジョンマップを作ることで、自分の『好き』が可視化できるのが大きなポイントです。可視化できるようになることで、自分がしたいおしゃれがイメージしやすくなりますし、見るだけでモチベーションアップにもつながります。またコーディネートの指針になるので、買い物しやすくなる効果も。逆に服を処分する際の指針にもなるので、服の断捨離にも役立ちます。ぜひ作ったものはクローゼットなど目に入りやすい場所に貼っておくのがおすすめです」

 

ビジョンマップは一度作ったら終わりではなく、シーズンの変わり目など、定期的に作ってみると、自分の好みの変化にも気づけて良いそうです。

 

 

ここからは田部さんへの質問タイム。まずは事前に寄せられていた「冬のボーナスでひとつだけ高価なアイテムを買うなら何がおすすめですか?」との質問。

 

「お金をかけるなら、使用頻度が高い物か面積の広い物がおすすめです。質問者の方がコートかバッグで悩んでいるということですが、いいチョイスですね。それ以外ではスカーフなど顔の近くにくるものもツヤ感のある上質なものを選ぶと、顔のくすみを飛ばしてくれるのでおすすめです。ん~、今の私だったらコートにするかな」

 

ほか参加者の方から「柄物(特に花柄)を着こなすポイント」や「カジュアルアイテムを着る際のコツ」などの質問も。花柄はモノトーンで小さめの柄のものをボトムスに取り入れるのがおすすめとアドバイス。またパーカーやスウェット、デニムなどのカジュアルアイテムを着るときには、靴はパンプス、上着はジャケットにするなどそのほかをきれいめアイテムでまとめると子どもっぽくならずに着られるとのこと。

 

田部さんのアドバイスに会場全体が深くうなずきながら、真剣に耳を傾けていました。

 

■田部さんを交え、好きなファッションや悩みについて語り合う

 

後半は交流会です。テーブルごとにビジョンマップを見せ合いながら、参加者同士、田部さんも交えて、話しが弾んでいる様子でした。

 

参加者の皆さんにこの日の感想を聞いてみました。

 

「自分の好きなスタイルはわかっていると思っていましたが、あらためて可視化することで、自分は『これが好きなんだ』と実感できました。服以外にも、『私は今、髪を切りたいのかも』と自分の気分もわかってよかったです」

 

「普段から田部さんのインスタを拝見していて大好きだったので、今日はお会いできて感動です。ワークもためになりましたが、実際に田部さんから声をかけていただけたり、同世代の人とファッションや共通の悩みについて話せたりして本当に楽しい時間でした」

 

「ワークで自分の好みをいっぱい知ることができてよかったです。好きなものを先入観なしで集めるワークが楽しすぎて夢中で作業してしまいました(笑)」

 

■イベントを終えて。田部晴香さんのアフターインタビュー

 

 

イベント終了後、あらためて田部さんにこの日の感想をお聞きしました。

 

「今日実際にみなさんのお話を聞いて、同世代のお悩みは共通なんだなとあらためて感じました。ファッションのお話を通じてテーブルの方同士が仲良くなっている姿がすごく印象的で、素敵な光景だなと思いました」

 

今回は、雑誌の切り抜きを使って自分の好きなものとあらためて向き合う作業をしていただきましたが、田部さんは普段、どのように情報を集めたり、自分をアップデートしたりされているのでしょうか?

 

「以前はアパレルの会社でデザイナーをしていたのでリサーチは割と得意なんです。今もマメにリサーチして、実際にお店にも見に行くようにしています。あとはコレクションもしっかりチェックしますね。そういったものを見て勉強する感じです。感覚だけではなく、どちらかというとしっかり分析していくタイプですかね」

 

また今日の会には普段から田部さんのインスタをフォローしているというファンの方も多くいらっしゃいました。みなさん、ファッションだけでなく田部さんの人柄が好きとおしゃっていましたが、内面磨きのために心がけていることをお聞きすると…。

 

「自分にフタをしないことが大事だなと思っています。母親だからこうしないといけないとか、考えすぎないこと。インスタでもこのような場でも、自分の気持ちに正直になって、思ったことをしっかり伝えることを心がけています。そういうところが好きと言っていただけるのはとてもうれしいですね」

 

最後に今日の田部さんのファッションのポイントを教えてください。

 

「中はブラックコーデですが、スカートはレザー調、靴はちょっと透け感のあるシアーな素材と、違った質感のアイテムを組み合わせました。黒でまとめると重い印象やちょっと地味になりがちなので、こうやって変化を付けるのがおすすめです。またアクセントになるように存在感のあるアクセサリーを選びました。ジャケットを持参したのですが、袖を通して着るとちょっとカッチリし過ぎてしまう気がしたので、ラフに肩にかけて。同じジャケットでも着方を変えると雰囲気も変わるのでおすすめです」

 

 

オンラインスクール「おしゃれアカデミー」が3周年を迎えたという田部さん。これからもおしゃれに悩む女性がいなくなるような発信や活動を続けていきたいと語ってくれました。

 

Profile:

田部晴香さん

大手アパレル企業にデザイナーとして勤務後、パーソナルスタイリストとして独立。「出産・子育てを経ておしゃれがわからなくなったアラフォー世代を救いたい」という思いで、インスタグラムでコーディネートの発信を行う傍ら、おしゃれを理論で学べるオンラインスクール「Osyare ACADEMY」を立ち上げる。現在はスクール運営のほか、アラフォー世代に向けたパーソナル診断の講座やバッグや服の販売を手掛ける。

インスタグラム

 

取材・文/石橋夏江(verb)

撮影/川しまゆうこ