八重洲・日本橋・京橋エリアには、衣食住や趣味・仕事まで本物を知るおとながたくさん。イラストレーターの佐々木千絵が、このまちの”粋”を体験するイラストエッセイ。
第3回、第4回は日本”三大祭”の一つと言われる山王祭に参加したお話です。第4回はいよいよ本番、下町連合渡御編!
前編の「事前準備編」はこちら
私が参加したのは、6年ぶりに通常開催される山王祭の最終日、2024年6月9日(日)に行われる「下町連合渡御」。
八重洲、日本橋、京橋、茅場町・兜町、八丁堀、江戸橋、宝町の16基の御神輿がビジネス街を練り歩きます。
私は「檜物町(ひものちょう)」といって現在の東京駅八重洲側、昔から華やかなエリアの町会に東京建物の社員の皆さんと一緒に参加させてもらいました。
無機物の高層ビルの間に溢れる汗と魂と肉体!
東京スクエアガーデンでのオープニングセレモニーからずっと鳥肌が止まらない。
人のうねりでお神輿自体どこを進んでるのか制御が難しい状態に!
髙島屋の正面入り口の一つ隣のガラス張り部分に突っ込みそうになり
「危ない!!」ピピーーーーーツ
「そっちじゃないよ!!髙島屋壊したら大変だよ!!」
と怒号や拡声器の声が響き渡る。
お神輿が高島屋に入る際には担ぎ棒を手で持ち
中腰で入るという技と力とチームワークが必要とされる。
檜物町のお神輿は大きくて重いのでさらに難易度が高い!
「もうちょっと下げよう!!!」ピピーーーーーツ
「はいゆっくり!!!」ピピーーーーーツ (誘導の笛)
固唾を飲み見守るチーム檜物町と沿道の人々…
入ったーーーーー!
歓声と拍手で髙島屋正面は大盛り上がり。
ヤバいです。髙島屋での差し上げ、これは大興奮アドレナリン放出瞳孔大開放案件でした!!
私は遅ればせながらコロナ禍あたりから音楽フェスに目覚め(配信から始まり)その楽しさとフェス後の”憑きものが落ちた爽快感”がクセになってしまったのですが、自己分析するとそれまで趣味で行っていた海外旅行にコロナ禍で行けなくなり、海外旅行で発散していたストレスの放出先がフェスになったのではないかとの結論に至りました。
人は真っ当なふりをして生きるために、数年に一度は日常を逸脱することが必要不可欠であり、地域の祭りというのは住民の精神衛生を健全に保つインフラとなっていたんだ! という大発見をしたのです!(はい?)
“踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損”
そう言えば阿波踊りもそう言ってましたね。
スペインのトマト祭もタイで有名な水かけ祭も「楽しそう!参加してみたい!」なんて
今まで微塵も思ったことは無かったけど、見てる何十倍も、参加したら病みつきになるのかもなあ。
山王祭に参加し、いつもはニュースの一つとしてしかみてなかった地域のお祭りに思いを馳せるようになりそうです。
あのお神輿でごった返していた街も、スンッとしたいつものビジネス街だったり、マダムなどがゆったり買い物をする日本橋髙島屋になってると思うと面白い。
自分だけが恋人のオフの顔を知ってるかのような気持ちですね。(はい?2回目)
この度取材を通じて仲間に入れていただいた檜物町の皆さん、東京建物の皆さん、貴重な体験を本当にありがとうございました!
独特のゆるいタッチと鋭い視点で描くイラストエッセイが人気。雑誌や広告、ウェブメディアなどで幅広く活躍中。大の旅好きで台湾のオールイラストガイドブック『LOVE台南~台湾の京都で食べ遊び~』(祥伝社)を2017年に出版。『子連れソウル』『ジジ連れ冥土のみやげ旅inパリ』(ともに祥伝社)などの著書がある。
Instagram:chie_sasa