vol.1 YNKsの朝を楽しむ

2023.12.22

雑誌編集者ユニット・お砂糖ひとさじの2人が、iPhone片手に八重洲・日本橋・京橋エリアへ。メジャーどころから意外な場所まで、まち歩きを楽しくする新たな視点が盛りだくさん。

第1回は「YNKsの朝を楽しむ」。仕事前に朝食を食べられるカフェから、仕事スポットにもなるコーヒースタンド、そして古き良きこの街の朝を感じられる散歩スポットまで、2人で歩きながら見つけたスポットを紹介します。

日本橋は朝の7時。

“冬はつとめて”と清少納言が書いた通り、冬の朝は特別な時間。早朝ならではのYNKsエリアの魅力に触れたくて、いつもよりちょっと早起きして、私たちは日本橋に集合した。

 

通勤途中の人たちが足速に橋を通り過ぎる中、ふと立ち止まって日本橋川を覗き込んでみる。冬の澄んだ空気の中、穏やかな川の流れを眺めていると、心が落ち着くから不思議。

 

今まで何気なく通過していた日本橋。よく観察してみるとクラシックなデザインがとても素敵だ。火事が多かった江戸では幕末までに何度も焼け落ちていて、今の西洋風の二連アーチ橋は1911年に19代目の橋として架けられたそう。

ここ日本橋は、関東大震災後、築地に市場が移転するまでは、魚河岸があったという。江戸時代には、大店が橋の通りの左右に店を並べていたらしい。そして現在。日本橋の上を通る首都高は、地下化の工事が進んでいる。

 

急ぎ足で通りすぎていく通勤中の人々とは対照的に、日本橋はいつも変わらずどっしりと街を見守っている。慌ただしい毎日の中で、ときどき立ち止まってみること。江戸時代からずっと、同じ場所から時代の変化を見つめてきた日本橋に、大事なことを教えてもらった気がした。

  • TOPIC 1

    船旅通勤がいよいよ実現!?

     

    豊洲〜日本橋の「船旅通勤」がいよいよスタート。現在(2023年12月)は夕方〜夜の便のみですが、早朝便のスタートも待ち遠しい!毎日の通勤が船になるだけでちょっと特別な気分になれそう。

  • TOPIC 2

    クラシックなデザインに改めて注目!

     

    1911年に完成した現在の日本橋は、材料に青銅を使った和洋折衷なデザインも魅力のひとつ。麒麟と獅子など東洋的なモチーフを採用していたり、柱の模様に松や榎木を取り入れていたり、デザインを観察しながら橋を渡っても楽しめるはず。

  • 日本橋

    住所:東京都中央区日本橋室町1丁目 8~日本橋1丁目1

あんバタートーストとともに200年の歴史を味わう。

普段、どこの街にでもあるチェーン店に行きがちだ。初めてのお店はちょっと緊張するし、美味しいかもわからない。

でも、日本橋という街の老舗中の老舗でありながら、カジュアルに入れるカフェを私たちは見つけてしまった!

 

やってきたのは榮太樓總本鋪 日本橋本店。そこには、朝食にぴったりのメニュー「日本橋あんバタートースト+ドリンクセット」(748円)があった。

パンはメゾンカイザー。サクサクと焼き上がって香ばしい。食べやすいように切り込みを入れてあるトーストをちぎってみる。外はパリッと、中はふんわりの理想的なトーストだ。

まずカルピスバターを塗って、その上につぶあんをたっぷりのせてみた。あんこは食べきれないほどいっぱい。

コーヒーは和菓子に合うブレンドで淹れられている。

 

朝ごはんってやっぱり特別だ。ついおざなりにしがちだけど、朝、ちょっとだけ時間にゆとりをもてたら、その1日が充実する気がする。

この街の魅力をもっと知りたくて、歴史が凝縮されたあんこを味わいながら江戸時代からの町人文化について思いをはせてみたり。ちょっと早起きして日本橋を味わうそんな朝。

 

榮太樓の歴史はなんと200年を超える。初代の栄太郎さんが日本橋のたもとにお店を構えたのは1857年。有名な丸い缶に入った三角形の榮太樓飴も19世紀から売っているのだそう。

  • TOPIC 1

    毎日限定数の日本橋あんぱんが気になる!

     

    日本橋本店でしか買えない「日本橋あんぱん」は午前中で売り切れてしまうことが多いのだとか。まとめ買いされていくお客様がほとんど。

  • TOPIC 2

    パッケージが可愛いからギフトにしたい

     

    老舗でありながら、ポップで可愛いパッケージの商品がいっぱい。日本橋のおみやげとしても、仕事先への差し入れにもおすすめ。

  • 榮太樓總本鋪 日本橋本店

    住所:東京都中央区日本橋1-2-5

    営業時間

    CAFE 8:00〜18:00

    SHOP 10:00〜18:00

    定休日:日曜・祝日

     

都会のビルの隙間に、神様はひっそりたたずむ。

新幹線の玄関、東京駅八重洲中央口からほど近く。でも大通りから一歩路地に入るとそこはまるで違う空気が漂う。

小さなお店が軒を連ねるエリアだ。

 

そんな八重洲の路地のひとつ、老舗の料亭、うなぎ屋さんなどの名店が並ぶ養珠院通り。足早に歩いていたら通り過ぎてしまいそうな、小さな小さな神社を見つけた。ビルとビルの隙間にひっそりたたずんでいる。

 

於満稲荷神社。この神社が祀っているのは徳川家康の側室だった於満の方なのだそう。この神社がある辺りに、当時幕府の休憩所があり、於満の方も日本橋エリアにいらっしゃって、神仏寄進のためのお買い物をたくさんしていたらしい。商業発展に貢献した於満の方を商人たちが祀った神社なのだった。

江戸時代って遥か昔だと思っていたけれど、この街を歩くとこんな風に江戸時代と自分が生きる21世紀が地続きにあることを感じさせてくれる。まだ、飲食店も静まり返っている朝の時間、散歩の途中にそっとお参り。仕事がうまくいくように商売繁盛を祈願してみた。

  • TOPIC 1

    2月には初午祭が開かれます

     

    全国各地の稲荷神社で、2月の初めての午の日に、商売繁盛や五穀豊穣を願う初午祭が開かれますが、於満稲荷神社でも開催されます。この日は養珠院通りも通行止めに。養珠院通りの名前は、於満の方の法号が養珠院であることに由来しています。

  • TOPIC 2

    江戸城のほうを向いている

     

    於満の方を祀っているので、神社は江戸城の方角を向いているのだそう。今は東京駅で見えないのであまり意識をしないけれど、東京駅の向こう側はすぐ皇居(江戸城)だ。

  • 於満稲荷神社

    住所:東京都中央区日本橋3-3-2

どんな仕事も美味しいコーヒーさえあれば。

午前中に対面の打合せがある日は、ちょっと早めに約束の場所近辺に到着して、コーヒーを飲みながら仕事の準備をするようにしている。遅刻の可能性にヤキモキしなくていいし、頭の中を落ち着いて整理できるから。

GOOD COFFEE FARMSは、朝の仕事前に立ち寄るのにぴったりなコーヒーショップだ。程よく賑やかで温かみのある店内の雰囲気のおかげで集中しやすい。ありがたいことにwifiと電源どちらもある。もちろん仕事モードを自然とオンにしてくれる、美味しいコーヒーも。

YNKエリアで働く人の息抜きスポットとして、私たちのようにときどきこの街を訪れるフリーランスの人たちのワークスペースとして。誰かに教えたくなる場所が、またひとつ増えた。

  • TOPIC 1

    ドリップバッグやアップサイクル商品の販売も

     

    店内にはオリジナルのドリップバッグのほか、コーヒーの実から生まれる不要物を使ったカップやコーヒーチェリーの果皮を活用したティーバッグなど、他ではなかなか見つけられないアップサイクル商品も!

  • TOPIC 2

    2Fからはシェアオフィス。

    スタートアップ企業が多く集まる

     

    GOOD COFFEE FARMSの入る建物の2Fから上はシェアオフィス。4Fのカンファレンスルームはレンタルスペースとして貸し出されているので、座談会やちょっとした撮影用に利用してみても。

  • GOOD COFFEE FARMS Cafe & Bar

    住所:東京都中央区日本橋3-1-3 1F

    営業時間:月〜金 7:00〜21:30、土日祝 9:00〜21:30(全日ラストオーダー 21:00)

    定休日:無休

    ホームページ

    https://www.goodcoffeefarms.com/

お砂糖ひとさじ
雑誌編集者ユニット

千田あすかと堂坂由香のエディター2人による雑誌編集者ユニット。「かつて女の子だったすべての女性にお砂糖ひとさじを」をテーマに、Instagram: @osatouhitosaji での発信、自分たちのいまの気分を詰め込んだ小さなマガジンの発行などの活動中。