八重洲・日本橋・京橋エリアには、衣食住や趣味・仕事まで本物を知るおとながたくさん。イラストレーターの佐々木千絵が、このまちの”粋”を体験するイラストエッセイ。 第5回は平安時代から現代までの掛軸などを扱う画廊「松本松栄堂」で開講されている書道教室に参加してきました。
多くの人が子どもの頃に授業や習い事で体験している身近な伝統文化”書道”。
おとなになってから何かを習うのに、過去に経験したことがあるというのは大きな心のアドバンテージ、しかし改めて体験してみてみると「文字が上手になる」以外の書道の素晴らしい効果を実感!
湯淺先生は大東文化大学で書道を学び、高校の非常勤講師として書道を教えていたそう。
そんなある日、京都の「松本松栄堂」が日本橋に支店を作る際に声がかかり、画廊のスタッフに。
のちに書道教室の講師も任されることになりました。
画廊の仕事では、“賛”と呼ばれる詩や歌が添えられた絵画や書の作品について、その内容や書の魅力を伝えることができるのでお客様に喜んでいただけているらしい。
さて、若冲の庭にいたであろう鶏に見守られながらレッスン開始!
湯淺先生曰く、書道は裾野が広いので、全国どこでも教室を探すことができ、始めようと思えばいつでも再スタートできる習い事。
たくさんの方に長く親しんでもらい、書を日常に活かしてもらいたいとのこと。
実際こちらの教室には子どもから年配の方まで幅広い年齢層の生徒さんが一緒に習っているそうです。
文字が上手くなるというのは一つの副産物であって、仕事や育児や勉強など、何かに一生懸命になっている人にこそ必要な時間が書道にはあった!
墨を磨る
文字を書く
このシンプルな行為の中にこそ、おとなの嗜みの理想郷があるのではないかと実感した90分なのでした。
独特のゆるいタッチと鋭い視点で描くイラストエッセイが人気。雑誌や広告、ウェブメディアなどで幅広く活躍中。大の旅好きで台湾のオールイラストガイドブック『LOVE台南~台湾の京都で食べ遊び~』(祥伝社)を2017年に出版。『子連れソウル』『ジジ連れ冥土のみやげ旅inパリ』(ともに祥伝社)などの著書がある。
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