春には桜のトンネルができる日本橋の名所、さくら通りにある江戸風御菓子司「日本橋 長門」。徳川吉宗公の代から菓子商を営んでいたというから、三百年近い歴史を持つ、東京でも老舗中の老舗の和菓子店だ。のちに将軍家御用商人となり、松岡長門大掾藤原新吉の称号と帯刀御免の待遇を賜り、代々徳川将軍家の菓子司として徳川家に菓子を献上してきたという。
もとは神田須田町に店を構えていたが、戦災で焼失したため、現在の日本橋へ移ってきた。徳川将軍家への献上菓子として現在まで一子相伝で受け継がれているのが、「松風」という江戸時代からの銘菓。おだやかな味噌風味の瓦せんべいで根強いファンはいるものの、あまり数は作れないため、予約してから二〜三ヵ月待つ貴重品となっている。このほか、徳川家御用商人には使うことが許されていた双葉葵をあしらった「葵最中」もある。胡麻を混ぜた香ばしい皮の中には、程よい甘さの小倉餡が入っている。
数十年にわたる人気商品のひとつは、きな粉がたっぷりかかった「久寿もち」。くずもちといっても、小麦粉でんぷんを醗酵させてつくる東京のくずもちとは違い、本わらび粉を使用した関西風の〝わらびもち〟といえるもの。それを関東風のくずもちと同じ形の三角形にして、この名前をつけた。楊枝で持ち上げるとふるふると揺れて、口に含むとほんのり甘く、とろけるようなおいしさにうっとりとする。先代が昭和初期に始めたものを、今も丁寧に作り続けている。
約二週間ごとに種類が変わる、季節の上生菓子もおすすめだ。先代から引き継いだ形に加え、古典文学や時代小説、四季の草花などからモチーフを選んで、新しいお菓子もつくる。こざっぱりとした江戸風の店の二階に工房があり、ほとんどの商品がひとつひとつ丁寧に手づくりされている。

手前・久寿もち(890円)、右上・季節の上生菓子(1個350円)、左上・葵最中(6個入り1320円)

日本橋 長門
住所: 中央区日本橋3-1-3
TEL: 03-3271-8662
営業時間: 10時〜18時
定休日: 日曜・祝日
WEBサイト: http://nagato.ne.jp/
TEXT:金丸裕子、 PHOTOGRAPH:渡邉茂樹
東京人2016年7月増刊より転載
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